コーピングスキルとは、ストレスに対応する技術のことを言います。 コーピングは、外界から与えられる刺激
( ストレッサーと呼ぶ)によって喚起される、情動的反応や身体的変調を低減するため、あらゆる認知的・行動的努力です。 そしてストレスと上手に付き合うためには、コービングスキルのレパートリーを増やし、適切な選択により 実行できるようになることが、重要です。
たとえば PTSD(posttraumatic stress disorder) の脆弱性に関する研究で、PTSDは、事故や事件など危機的な出来事が誘因となって生ずる心理的障害でありストレス反応の極端な例であります。しかしながら、同様な 危機的出来事を体験してもPTSDを生じる人とそうでない人が知られていまして、どのような要因が
PTSDを生じやすくするのかが、研究の論点となっています。(Brock et al ,2001)
白波 瀬(2002)は、PTSDのリスクファクターとして@生物学的・遺伝的要因 A心理学的要因 B環境的要因
C認知的および対処的要因を挙げています。
心理学的要因については、自己効力感や自己コントロールの高さが発症に対し予防的に作用します。
環境的要因は、家族の適応状態が、好ましくないことや、援助的資源がないことがリスクをたかめるといわれています。
認知および対処要因については、その出来事をどのように理解し受け止め評価するかやストレスに対するレパートリーの広さがPTSDに影響を与えることが知られています。
コーピングには、ラザラスが提唱するストレスコーピングの2種類で、情動焦点型コーピングと問題焦点型コーピングに大別されます。
情動焦点型コーピングは、回避や静観、気晴らしなど、ストレス状況に置かれたときに生じるネガティブな情動そのものを軽減しようとするコーピングであるのに対し、問題焦点型コーピングは、問題の所在の明確化や情報収集、解決策の考案など、問題解決のための環境や自分自身を積極的に変化させようとするコーピングです。
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情動焦点型は,、多く用いてほしい方法と用いることを避けてほしい方法があります。
その中の積極的認知対処は、自分自身の感情をコントロールしたり、ストレスとなる出来事に肯定的な意味を持たせたりといった認知行動療法の一つの技法として確立されています。
また問題解決型は、ストレス状況を変えるための問題対処中心による努力や、問題解決するために状況分析を行う対処です。この方法を用いる人は、あまり用いない人と比較して、同じ出来事を経験してもストレスと感じづらく、したがって抑うつ的になったり 、不安に感じたりすることが少ないと言われています。
その状況、その方々ごとに教育、習得、ワークを行っていきます。
日本語版 WCC コーピングスケールとしていろいろな選択肢がありますが、経験、
コーピングとの相性、熟練度により組み合わせや手法が変わります。
問題解決
- 経験に照らし合わせて解決方法を考える。
- 出来事の状況をもっと詳しく調べる。
- 問題解決のために積極的行動に出る。
- 良い結果を生むことがあれば、全力でそのことに集中する。
- あきらめてしまわず、なにか可能性を見つける。
- 計画を立てて実行する。
- あわてずゆっくりと行動する。
- 何か状況を変えて、ことがうまく運ぶようにする。
- 1つ1つ物事を処理してゆく。
- 解決するための努力が足りないと考え、いっそう努力する。
- いろいろな問題の解決法を試みる。
- 自分の望みを叶えるために努力をし続ける。
- 自分自身を変えて問題を何とか解決する。
- 専門家に相談してその指示に従う。
積極的認知対処
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- その出来事にプラスの面を見つける。
- 一歩退いてその出来事を見直す。
- どうにかなると考え心配しないようにする。
- 妥協して困った出来事の中にも何か良いことを見つける。
- 自分自身を成長させたくましくする。
- 最良でなくその次に良いことでも受け入れる。
- 苦労を良い経験として活かす。
- 物事の処理を妨げないように、心を落ち着けるようにする。
- 睡眠を多くとり休養する。
- スポーツなどで気分転換する。
ソーシャルサポート
- 友達に相談する。
- その問題について誰かに話して情報を得る。
- 誰かに共感や理解を求める。
- 問題の解決を手助けしてくれる人に相談する。
- 信頼できる人にアドバイスしてもらう。
- 誰かにそのことについて聞いてもらう。
自責
- 自分自身を責める。
- 自分自身を批判する。
- 問題の責任は自分にあると考えるようにする。
- 自分がもっと強い人間だったらと考える。
希望的観測
- 誰かが助けてくれることを願う。
- 奇跡が起こることを望む。
- 嫌な経験が消えてしまえばと考える。
- 良い時のことばかり思い出している。
- ああなったら、こうなったらと仮定のことばかり夢見ている。
- 非現実的なことを考えて気分転換する。
回避
長い年月は何ですか
- 人にあたって気分を紛らわす。
- 食べることで緊張を和らげようとする。
- 急場さえ切り抜ければ何とかなると考える。
- 問題を回避できなかったことを後悔する。
- 問題の原因である人に腹を立てる。
問題解決、積極的認知対処は、できるだけ多く用いることが好ましい対処方略で、抑うつや不安感を減少させます。後者は、認知行動療法の技法のひとつとして確立されています。
ソーシャルサポートは、ストレスとなる出来事に対していろいろな情報を得たり感情的な面で、いろいろと他の人からの支えを求める情緒中心対処における行動的努力です。
その他の3つの方法(自責・希望的観測・回避)は、不安感や抑うつ感を増強させる好ましくない方法です。(nakano,1991c)。しかし回避に限り用いることが有効なストレツサーもあります。大切な人の死、末期がんがみつかるなどです。(ストレスマネジメント入門 2005 中野)
少し複雑になってきますが、複合的解決法も検討されています。
これまでの多くのコーピングスケールを理論的に整理して集約したものもあります。
1.関与−回避 態度は積極的に関わるか、回避しようとするか
2.問題−情動 ねらいは問題解決か、気持ちの安定か
3.認知−行動 方法はどうするか考えるか、行動に移すか
情報収集:関与・問題・行動
既に経験した人から話を聞いて参考にする
力のある人に教えを受けて解決しようとする
詳しい人から自分に必要な情報を収集する
計画立案:関与・問題・認知
原因を検討し、どのようにしていくべきか考える
どのような対策を取るべきか綿密に考える
過ぎたことの反省をふまえて、次にすべきことを考える
カタルシス:関与・情動・行動
誰かに話を聞いてもらい、気を静めようとする
誰かに話を聞いてもらって冷静さを取り戻す
誰かに愚痴をこぼして、気持ちをはらす
肯定的解釈:関与・情動・認知
悪いことばかりではないと、楽観的に考える
今後は良いこともあるだろうと考える
悪い面ばかりでなく良い面も見つけていく
放棄・諦め:回避・問題・認知
自分では手におえないと考え、放棄する
対処できない問題であると考え、あきらめる
どうすることもできないと、解決をあと延ばしにする
責任転嫁:回避・問題・行動
自分は悪くないと言いのがれをする
責任を他の人に押し付ける
口からでまかせを言って逃げ出す
回避的思考:回避・情動・認知
嫌なことを頭に浮かべないようにする
そのことをあまり考えないようにする
無理にでも忘れるようにする
気晴らし:回避・情動・行動
買い物や賭け事、おしゃべりなどで時間をつぶす
ともだちとお酒を飲んだり好物を食べたりする
スポーツや旅行などを楽しむ
参考文献(TAC−24) 神村ら(1995)
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