社会心理学は、二人以上の人間がいるときに生じる現象を扱う心理学の一領域です。例えば、恋愛や暴力は社会心理学でよく研究されるテーマですが、一人で恋愛をしたり、一人で暴力をふるったりするということはありませんね。恋愛も暴力も二人以上の人がいてはじめて発生する出来事です。
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社会心理学の歴史はあまり古くはありません。直接の先祖は70年ほど前のアドルフ・ヒトラーとセールスマンだという人もいます。ヒトラーは大衆を操るための演説が得意で、セールスマンは人々に品物を買わせるのが得意ですが、初期の社会心理学ではヒトラーやセールスマンが人々を操る過程について研究が進められました。念のために言っておきますが、ヒトラーを尊敬する人が社会心理学をはじめたわけではありません。ヒトラーのような人に丸め込まれないようにするにはどうしたらいいんだろう？ということが、当時の研究者たちの研究動機だったようです。
その後、社会心理学は、研究対象を拡大し、コミュニケーション� ��人間関係、集団といった人間同士のかかわりに関する事柄を広く扱うように発展しました。
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現代の社会心理学の教科書を見ると、だいたい次のようなことが取りあげられています。
・対人認知（自分や他人についてのイメージができあがる様子）
・態度変容（人を説得したり、誘導したりする方法）
・コミュニケーション（言葉、表情、しぐさのはたらき）
・対人行動（恋愛、暴力・攻撃、援助など）
・集団（リーダーシップ、集団のまとまり、集団間の争い）
・集合（うわさ、流行、暴動など）
●研究方法
社会心理学は実証的な学問です。つまり、あれこれ考えるだけではなく、考えたことが本当かどうかを実際に確かめて結論を出すのです。その方法には以下のようなものがあります。
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実験 実験に協力してくれる人たちを、ある条件の下において、それぞれの様子を調べるという方法。例えば、同じ女性と話をするという実験があります。この実験では、一方の男性たちが恐怖でハラハラドキドキしており、もう一方の男性はそうではない場合、ハラハラドキドキしている男性は女性をより魅力的に感じるということが明らかになりました(「ダットンとアーロンのつり橋実験」)。
調査 アンケートをしたり、インタビューをしたりする方法。多くの場合、集められたデータは統計学を使って分析されます。わたくしはもっぱらこの方法で研究をしています。
観察 研究対象となる人々を、その人たちの邪魔にならないよう� ��見る方法。子ども同士のやり取りをビデオで撮影するのはこの方法です。
参与観察 調べたい人たちの仲間になってその様子を調べる方法。研究者が暴走族の仲間に入れてもらって彼らの生活の様子や成長の過程を調べたという研究もあります（佐藤郁哉「暴走族のエスノグラフィー」）。
卒業論文の作成にあたっては、自分で関心のあるテーマを考えたうえで、こうした方法を通して研究を進めることになります。
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