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5つ星のうち 5.0 判り易い確率論の専門書,
レビュー対象商品: 確率論 (実教理工学全書) (単行本)
ルベーグ積分にある程度習熟していたら、この本で確率論を学ぶのは良い方法だと思う。ただし専門的なルベーグ積分の本を読んでおく必要はない。吉田洋一著「ルベーグ積分」くらいのレベルで良いと思う。この本は、ルベーグ積分の本に書かれているようなこともちゃんと証明しているが、積分は別の本で読んでちゃんと理解しておく方がいい。この本を読み始めると、積分論ですでに読んだと思う所があっても、飛ばさずに読む方がいいと思う。練習問題がついているのも良い点である。やはり問題を解いた方が理解は深まる。
ミスプリントは殆どない。ただし、この本の最後の方は急に難しくなる。出版に際してページの制限があるから、最後は密度が濃くなるのだと思う。
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5つ星のうち 5.0 良くまとまっています,
レビュー対象商品: 確率論 (実教理工学全書) (単行本)
私も学部生の頃、この本で確率論を勉強しました。定式化については、あまり余計なことを考えなければ、スンナリ読めると思います。トータルして、大変優れた教科書だと思います。内容について紹介すると、第1章:組み合わせ論的な確率論です。本書では、離散型確率空間と呼んで、独立確率変数についての性質を述べています。応用として、ワイヤストラスの多項式近似定理を証明しています。
第2章〜第5章:抽象測度論に基づいて、一般の確率空間を定義します。確率変数や、その期待値、特性関数について、基本的なことを述べます。レヴィの反転公式が、第5章で証明されます。p.121 の定理2は、ブルバキの数学原論の積分の第9章においても、プロホロフの定理として述べられているものです。
円柱の体積を見つけるための式は何ですか?
第6章:ここでは、ボレル・カンテリの定理、0-1 法則、大数の法則、中心極限定理が証明されます。中心極限定理は、リンデベルグ条件から導出されますが、その逆は、ここでは証明されません。この点について興味のある読者は、教育出版から出ている「清水良一著:中心極限定理」を参照できます。その他に、無限分解可能な分布についても言及があり、レヴィの標準形について述べられます。このあたりの定式化も、特に、p161 の定理3について、「中心極限定理;前掲」がより詳しく述べています。
この章の p137-138 において、著者は、ケアレスなミスをしています。p137 の 21 行目で、下極限を上極限と、勘違いしているため、例4が、系統的に書き直しが必要となっています。
第7章、第8章:ここでは、条件付確率について、系統的に述べられます。さらにその発展として、マルチンゲール、マルコフ系列について述べられます。劣マルチンゲールの停止時間、最適停止問題などです。これらの章は、第6章までと比べて、大変密度が濃くなっています。
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量子物理学はどのように本物である
5つ星のうち 5.0 条件付確率・分布の計算を自家薬籠中の物に!,
レビュー対象商品: 確率論 (実教理工学全書) (単行本)
確率論の基礎を詳しく解説しています。本書のウリは条件付確率、条件付分布を解説した第7章にあります。
確率過程でモデル化された現象を解析では、条件付確率に関連する計算が極めて重要な位置を占めます。
例えば連続値をとる確率過程Xの確率過程Yに関するある条件付確率(分布)を求めたい場合、確率過程X,Yの密度関数を一定の手続きで計算する必要があります。勿論、この種の計算手続きに関する理論的な根拠を知らなかったとしても、離散的な値をとる確率過程での計算方法を頼りにそれとなく実行できなくはありません。しかし確固とした根拠をもって計算を遂行したいと願う方には、不満が残ることでしょう。
σ集合族および離散的な値をとる確率変数による条件付確率に関しては、他書に十分な解 説がありますが、勿論これでは上にあげたような計算を理論的に支援することは出来きません。
この悩みを解決してくれるのが本書(および伊藤清「確率論」)です。条件付分布に関する計算を全くストレスを受けることなく実行出来るようになり、マルチンゲールやブラウン運動の汎関数に関する分布計算などが大変スムーズに進むと思います。是非お手元に。
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